革新のその先へ。
LWG認証工場として環境と品質を両立した未来の革づくりを。

なぜ、私たちはLWG認証を目指したのか
近年、世界的に環境問題への関心が高まる中、革製品業界においても持続可能な生産方法への転換が求められています。特に欧米の高級ブランドからは「環境に配慮した革」の調達基準として、LWG認証が標準となりつつありました。
当社がLWG認証取得の検討を始めたのは2021年のコロナ禍初期でした。社会生活様式の大きな変化の最中、レザービジネスにもその潮流が起ころうとしていました。そしてレザーの価値観を如何に社外及びユーザーに伝えるかについて、社内で真剣な議論を重ねた結果、私たちは「革の未来は、持続可能性にある」という確信に至りました。
「100年続く皮革工場を目指すなら、環境との共存は必須」です。
LWG認証は単なる通過点。
この挑戦を通じて、日本の皮革産業と自社の未来の在り方を本気で考えたのです。

2年間の挑戦!そして、正式認証へ!!
認証取得前の当社工場は、創業以来築き上げてきた伝統技術を誇りにしていましたが、環境面では課題を抱えていました。
取り組んだこと
1. 環境負荷低減への取り組み
行政と一体化した汚水処理の徹底とそのリサイクルへの取り組みは所属団体と共に兵庫県及びたつの市と共同で行い、クロームの処理とリサイクルに於いては県道にそのペレットが15%以上使われる事が既に県条例に取り決められています。
電力の使用効率を高める為、高圧電力のデマンドコントロールを監視してマネジメントシステムを再構築し、製造工程で使用する機械設備の動作状況を徹底的に見直しました。結果として年間の電力使用量の抑制を大幅に行う事に成功しました。化学薬品の使用低減目標を設定して環境配慮型商品の開発に取り組みました。
2. 働く環境と安全衛生の向上
効率的且つ安全な作業導線を再考し、ライニング化しました。化学薬品の管理と保管方法を強化し、その取り扱いについて従業員への再教育プログラムを実施しました。防火対策については、設備を大幅に充実させることで事で非常時に於ける安全性を高めました。大気汚染及び作業環境汚染を低減する為、作業場のダクト(換気)システムの改善工事を新たに行いました。全機械設備への安産対策補強工事を実施し、安全予防の強化に取り組みました。
3. 管理体制の強化
工場内の5s活動の徹底した教育を実施しました。原皮及びその他原材料のトレーサビリティシステムの構築と運用の強化を行いました。環境マネージメントを可視化する為に「カーボンフットプリント」を取得しました。製造工程全般での水、化学薬品、エネルギー(電力、化石燃料等)の使用量管理と環境目標の設定を行いました。製造工程で廃棄される産業廃棄物のリサイクル率の向上目標を設定し、運用方法の見直しを行いました。
4.具体的な改善数値項目
水使用量、電力及び化石燃料等エネルギー使用量、化学物質使用量、産業廃棄物排出量、原材料調達から始まり製造工程全般に及ぶCO2排出量(カーボンフットプリント参考)等様々な環境負荷値を可視化し、シルバーグレードの数値目標達成に努めました。

苦労した点
LWG認証取得への道のりは決して平坦ではありませんでした。
最も大きな壁は、これまでの国内の一般的な革作りとLWG基準の革作りとのギャップでした。日本では当たり前の作業環境や衛生、その他の取り組みがLWG認証基準を満たせていない物が多い事に最初は戸惑いと驚きがありました。又、認証取得に求められる製造プロセスの管理記録の処理にはそのシステム構築に当初の想定を超えた費用と時間を要しました。
さらに、従業員の理解と協力を得るまでの道のりも険しいものでした。「今までの革作りの方法と取り組みだけでは何が足りないのかわからない!」と言った声も少なくはありませんでした。しかし定期的な勉強会や先進工場の情報共有、一人ひとりとの対話を重ねる事で「LWG基準の環境配慮を強く意識した革つくり」へと共感の輪は社内に醸成されて行きました。

そして、成果へ
2年間の取り組みの結果、LWG認証を取得することができました。しかし、最も大きな成果は目に見える改善だけではありません。
社員一人ひとりの環境意識が向上
工場全体の整理整頓が進み、作業効率が向上
品質管理の徹底により不良率が減少
「グローバルスタンダード」で製造される「人と地球に優しいレザー」と云う新たな付加価値の創出

LWGとは、世界が認める革の“信頼マーク”
LWGの概要

Leather Working Group(LWG)は、2005年にイギリスで設立された非営利団体です。革製造業界の持続可能な発展を促進するため、環境パフォーマンスを評価・認証する国際的な基準を策定・運用しています。現在、世界35か国以上の革なめし工場が参加し、グローバルな革業界のサステナビリティ基準として広く認知されています。
評価基準
LWG監査では、以下の項目について厳格な審査が行われます。
水管理(使用量・処理方法)、エネルギー使用、大気排出抑制、廃棄物管理、化学物質管理、トレーサビリティ管理、労働環境
日本国内のLWG認証取得工場はわずかであり希少性があります(2025年3月現在)。更に加工の原料を原皮からスタートし、仕上げのフィニッシュまで行うカテゴリーに於いては更に僅か数社しか現在登録されていません!
世界の採用例
LWG認証は世界のラグジュアリーブランドやスポーツブランドの調達基準として広く採用されています。
- ラグジュアリーブランド:Gucci/Louis Vuitton/Hermès/Prada
- スポーツブランド:Nike/Adidas/Puma/New Balance
- アパレル:H&M/Zara/Uniqlo
- 自動車メーカー:BMW/Mercedes-Benz/Audi/Tesla
- 他:CITIZEN
多くのグローバルブランドが「2026年までにLWG認証レザーの使用率100%」などの目標を掲げており、認証取得の重要性はさらに高まっています。
「環境 × 革 × デザイン」で、これからの革業界を共に
サステナブルレザーの新時代へ
当社はLWG認証取得をゴールではなく新たなスタートと捉えています。そしてこれからも日本を代表する環境配慮型タンナリーとしての地位を確立することを目指しています。

パートナーシップのご提案
当社はLWG認証取得タンナーとして、御社のブランド価値向上に貢献できると確信しています。
サステナビリティ戦略に沿った革素材の共同開発
LWG認証革を使用した製品のプロモーション支援
環境負荷の少ない製造プロセスについての情報共有
エシカルな素材としての革の価値を共に消費者に伝える活動
「環境に配慮した革づくり」は一社だけで成し遂げられるものではありません。志を同じくするパートナーと共に、革業界の持続可能な未来を切り拓いていくことを願っています。

LWG認証取得の証明

よくあるご質問(FAQ)
ご挨拶
「No Leather 、No Life 」、私達が標榜するレザーにはココでご紹介した三つのキーワードがあります。「製造への拘り」、「教育への拘り」、「革への拘り」。そしてこの度、四つ目の「拘り」を見つける事が出来ました。其れが「環境への拘り」であり、即ち「LWG」認証取得(シルバー・グレード)によって生まれる新しい革作りに対する価値観の創造なのです。
家畜動物由来の副産物を可能な限り地球に優しい方法でレザーに変え、様々な商品の素材となる事でヒトの生活の彩りの一部に溶け込ませて行く。私達はこれまでも、そしてコレからもそんなプライドを持ったタンナーでありたいと願います。
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